児童生徒が「明日も行きたくなる学校」が求められています。
そのような学校を実現するための一つの方法として、
今回は、子どもにとって「必要のないストレス」を減らすことについて考えてみます。
この内容は、先生方がより適切な方法で指導することにもつながるのではないかと思います。
内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。
このコラムは約3分で読めます。
1 先生の不機嫌を指導に使わない
先生も人間ですから、忙しいときや疲れているときに、イライラしたり、不機嫌になったりすることもあるでしょう。
それ自体は、自然なことです。
しかし、注意したいのは、「先生の不機嫌さ」を児童生徒への指導手段として使っていないか、ということです。
例えば、児童生徒が言うことを聞かないときに、
- 急に声のトーンを低くする
- 無言で険しい表情をする
- あからさまにため息をつく
- 「もう知りません」と突き放す
といった態度を取ることはないでしょうか。
こうした先生の態度によって、児童生徒が「先生を怒らせないようにしよう」と行動を変えることがあります。
短期的には、「指導ができた」ように見えるかもしれません。
しかし、そのとき児童生徒が学んでいるのは、「なぜその行動が望ましくないのか」ではなく、
「先生を不機嫌にさせないことが大切」ということかもしれません。
先生の不機嫌で
児童生徒をコントロールしない
このような指導を続けていると、意図せずして、「先生の顔色をうかがう」態度を育ててしまうことがあります。
「自分はどう考えるか」ではなく、「先生が不機嫌にならないためには、何を言えばいいか」を考えるようになるかもしれません。
これは、児童生徒にとって、とてもストレスの高い状態だと考えられます。
そのような状態を防ぐためには、日頃から自分自身の指導をセルフチェックすることが大切です。
もちろん、先生ご自身の感情をすべて抑える必要があるわけではありません。
大切なのは、「不機嫌を指導の手段にしないこと」です。
そして、児童生徒を萎縮させるのではなく、「何が問題なのか」「どうしてほしいのか」を、言葉で伝えることが必要です。
このような姿勢が、児童生徒にとって安心して過ごせる学校環境をつくるうえで、大切なのではないでしょうか。

2 職員室を「安全な場所」にする
児童生徒にとって、職員室は少し入りにくい場所かもしれません。
「先生に怒られるかもしれない」
「先生たちが忙しそうだから、声をかけにくい」
「何を言われるかわからない」
そんな緊張を感じながら、職員室のドアを開ける児童生徒もいるでしょう。
だからこそ、職員室に来た児童生徒への対応は、とても大切です。
例えば、こんな場面を考えてみましょう。
「トントン、失礼します。1年1組の〇〇です。サイクラ先生に用があって来ました」
先生方が仕事をしている中、児童生徒が入室してきました。
「・・・」
どうやら、サイクラ先生は不在のようです。
さて、この児童生徒に、どのように対応しますか?
「サイクラ先生は、いません!」
不在であることを伝えました。これで十分でしょうか?
もちろん、それだけでも間違いではありません。
しかし、例えば次のように、もう一歩丁寧に対応することもできます。
「サイクラ先生はいないけど、どうしたの?」
まずは、どのような用件なのかを確認します。
急ぎの用件であれば、その場ですぐに対応できます。
「早退するの? じゃあ、1学年の先生を呼んでくるね」
このように、用件に応じて必要な先生につなぐこともできます。
また、児童生徒が「どうしたらいいのかわからない」という状態にならないように、次の行動を示すことも大切です。
「提出物なんだね。サイクラ先生に直接渡したいよね。また来てくれるかな」
このように、児童生徒の気持ちを受け止めながら、適度な丁寧さを持って接することもできます。
こうした一つひとつの対応は、ほんの数十秒のことかもしれません。
しかし、児童生徒にとっては、その数十秒が、
「職員室に行っても大丈夫」
「先生に声をかけても大丈夫」
「困ったときは、先生に相談していい」
という安心感につながります。
職員室は「大人の仕事場」であり
児童生徒が「大人」と接する場所でもある
職員室は、先生方にとって仕事をする大切な場所です。
一方で、児童生徒にとっては、先生という「大人」と接する場所でもあります。
児童生徒に対して、どのような「大人の姿」を見せるのか。
そんな視点を持って、日々の職員室での対応を考えてみるのもよいのではないでしょうか。

例:職員室ドアの掲示物

3 間違いを歓迎する授業をつくる
授業中に、児童生徒が間違えたとき、先生はどのように反応しているでしょうか。
「違います」
「それは違うよ」
と、すぐに修正していませんか。
もちろん、間違いを正すことは大切です。
しかし、もし「間違える=恥ずかしい」という経験が積み重なったら、児童生徒は次第に、
「正解できるときだけ発言しよう」
と考えるようになるかもしれません。
そうならないためにも、授業では「間違い」を学びの素材として扱うことが大切です。
例えば、児童生徒が誤った答えを出したときに、
「なるほど。そう考えたんだね」
「同じように考えた人も多いんじゃない?」
「どう考えたのか、聞かせて」
「〇〇さんがそう考えた気持ち、わかるよ」
などと声をかけてみます。
児童生徒の恥ずかしさを和らげながら、「なぜその答えになったのか」を一緒に考えることができます。
さらに、次のような方法も考えられます。
先生があえて誤った答えを示して、
「これは、どこが間違っているでしょう?」と発問する。
子どもたちは、間違いから学べることが多いと理解できるでしょう。
また、ある程度学習が進んだところで、
「以前の自分たちだったら、どこで間違いやすかったかな?」と発問します。
間違いやすい場所を振り返ることで、学びのポイントを整理できると実感できます。
普段から、教室の緊張感を下げるために、
「教室は、間違えていいところだよ」
「間違いは学びの宝だから、大歓迎です」
「チャレンジすることが大切だよ」
などと伝えている先生もたくさんいます。
こうした言葉を繰り返し伝えることも、安心して発言できる教室の雰囲気づくりにつながります。
大切なのは、間違いをなくすことではありません。
間違いや疑問を出しても、
学びにつなげてもらえる授業
そのような授業であれば、児童生徒は「間違えたらどうしよう」という不安を抱えすぎることなく、
安心して考え、自分の言葉で表現することができます。
そして、その安心感が、児童生徒の「やってみよう」「考えてみよう」という気持ちを支えるのではないでしょうか。

ここまで取り上げた3つの場面は、先生方も、ご自身が学生だった頃に、同じようなストレスを感じた経験があるのかもしれません。
先生の顔色をうかがってしまう。
職員室に入ることをためらってしまう。
間違えることが怖くて、発言を控えてしまう。
こうした経験は、決して特別なものではないかもしれません。
もちろん、ストレスがすべて悪いわけではありません。
適度な緊張感が、「何かしらの成長につながる」ということもあります。
しかし、今回取り上げたようなストレスは、成長のために必要なものというよりも、
「なければ、もっと安心して成長できたかもしれないもの」
なのではないでしょうか。
だからこそ、学校から、こうした「必要のないストレス」を少しずつ減らしていきたいものです。
「明日も行きたくなる学校」は、特別な取り組みだけでつくられるものではありません。
先生方の日々の声かけや表情、ちょっとした対応を、少しずつ「アップデート」していく。
児童生徒にとって、「先生に話しても大丈夫」「間違えても大丈夫」「困ったときは相談しても大丈夫」と思える環境をつくっていく。
その一つひとつが、「明日も行きたくなる学校」につながっていくのだと思います。
まとめ
- 先生の不機嫌で児童生徒をコントロールしない。不機嫌を使った指導は、児童生徒を萎縮させてしまい、心理的な負担を増やすことにつながる。
- 職員室を、児童生徒が安心して大人に相談できる場所にする。入室してきた児童生徒には、先生方が忙しいときでも、ちょっとした声かけや丁寧な対応を心がける。
- 間違いや疑問を、学びの材料として歓迎する授業をつくる。教室内の心理的安全性を高め、児童生徒の「間違える」「目立つ」ことへの不安を軽減する。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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