【教師の質問力】オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンの使い分け

児童生徒から話を聴くとき、先生はどのような質問をしていますか。

「何があったの?」「それはいつ?」「誰が言ったの?」

質問の仕方ひとつで、児童生徒の話しやすさは大きく変わります。

このコラムでは、オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンの違いを整理し、学校現場での使い分け方を解説します。

内容が理解しやすいように、理論的背景を省略しています。
詳しく学びたい方は、最後に紹介している書籍を参照願います。

このコラムは約3分で読めます。

目次

1 2種類の質問法

質問には、大きく分けて2種類があります。

質問法特徴
クローズド・クエスチョン(閉ざされた質問)質問に対して、ひと言で答えられる

例:「授業の内容が理解できましたか?」
 
オープン・クエスチョン(開かれた質問)質問に対して、ひと言では答えにくい

例:「授業で考えたことは、何ですか?」
 

クローズド・クエスチョン

(閉ざされた質問)

質問に対して、ひと言で答えられる

例「授業の内容が理解できましたか?」

オープン・クエスチョン

(開かれた質問)

質問に対して、ひと言では答えにくい

例「授業で考えたことは、何ですか?」

英語では、

クローズド・クエスチョンは Do you 〜 ?の形

オープン・クエスチョンは What / Why / How などの 5W1H がよく用いられます。

ただ、5W1H を使えば必ずオープンになるわけではありません

例えば、

「悪口を言われたのは、いつですか?」

「それを言ったのは、誰ですか?」

といった質問は、5W1H を使っていても、ひと言で答えられるためクローズド・クエスチョンに分類されます。

2 クローズド・クエスチョン(閉ざされた質問)

「はい」「いいえ」「〇〇です」など、ひと言で答えられる質問です。

例えば、

例1「黒板の文字が見えますか?」
 (はい/いいえ)

例2「運動会と文化祭は、どちらが好きですか?」
 (運動会/文化祭)

例3「どの部活動に所属していますか?」
 (部活動名/所属していません)

このように、回答に大まかな選択肢がある質問法です。

特徴は、

答え方が明確なため、心理的負担が少ない

話し始めなど、相手に不安や緊張がある場面で有効です。

うなずくだけでも、やり取りを進めることができます。

必要な情報を確認しやすい

事実関係を確認したり、不明な点を明確にしたりする場面で有効です。

得られる情報が少ない(質問を重ねることになる)

ひと言で答えられるため、得られる情報は限られます。

そのため、クローズド・クエスチョンを重ねすぎると、相手が負担を感じやすくなります。

答え方が明確なため、心理的負担が少ない

話し始めなど、相手に不安や緊張がある場面で有効です。

うなずくだけでも、やり取りを進めることができます。

必要な情報を確認しやすい

事実関係を確認したり、不明な点を明確にしたりする場面で有効です。

得られる情報が少ない(質問を重ねることになる)

ひと言で答えられるため、得られる情報は限られます。

そのため、クローズド・クエスチョンを重ねすぎると、相手が負担を感じやすくなります。

3 オープン・クエスチョン(開かれた質問)

ひと言では答えにくい質問です。

例えば、

例1「最近の調子は、どうですか?」

例2「何があったのですか?」

例3「それを聞いて、どう思いましたか?」

このように、回答に全く選択肢がない質問法(自由記述)です。

特徴は、

多くの情報を引き出すことができる

ひと言では答えられないため、出来事の背景や状況など、多くの情報が共有されます。

自己表現を促すことができる

回答の中に、相手の考えや感情などが自然と表れます。

話題を広げやすい

相手の主体的な発言が増えるため、相手の関心や状況に合わせて、話題を広げることができます。

多くの情報を引き出すことができる

ひと言では答えられないため、出来事の背景や状況など、多くの情報が共有されます。

自己表現を促すことができる

回答の中に、相手の考えや感情などが自然と表れます。

話題を広げやすい

相手の主体的な発言が増えるため、相手の関心や状況に合わせて、話題を広げることができます。

4 2種類の質問を使いこなす

2種類の質問は、場面や順番を意識して使うことが大切です。

(1)場に慣れるためのクローズド・クエスチョン

例えば、不登校傾向の児童生徒と面談するときは、

緊張をほぐしてから、徐々に本音を引き出していく工夫が必要です。

そこで大切なのは、

まず2〜3個のクローズド・クエスチョンを入れて、簡単なやり取りをすることです。

野球のキャッチボールや、サッカーやバスケットボールのパス練習では、

短い距離から始めて、徐々に距離を伸ばしていきます。

それは、負担の少ないところから始めて、体を温めるためです。

質問も同じです。

簡単で負担の少ない質問から始めて、心を温めていきます

クローズド・クエスチョンは回答方法が分かりやすいため、安心して答えることができます。

例えば、

「部屋は寒くないですか?」
(はい/いいえ)

「今日は、おうちの人に送ってもらったの?」
(はい/いいえ)

「そのカバンに付けているぬいぐるみ、かわいいね。何というキャラクター?」
(キャラクター名/わからない)

このようなやり取りを通して、児童生徒は場所や雰囲気に徐々に慣れていきます

不安や緊張がある場面では
2〜3個のクローズド・クエスチョンから始める

(2)傾聴にはオープン・クエスチョン

オープン・クエスチョンは、相手が会話の中心になる質問法です。

例えば、

  • 相手が話す時間を増やすことができる
  • 相手に会話の主導権を渡し、相手が話題を選ぶことができる
  • 相手の思考や感情を表現してもらえる

といった特徴があります。

児童生徒の思いや気持ちは

「はい」「いいえ」では答えられないことが多いものです

そのため、傾聴の場面では、オープン・クエスチョンが重要になります。

相手が会話の中心になるためには
オープン・クエスチョン

また、オープン・クエスチョンには、

相手が自分の考えを整理したり、出来事を捉え直したりする効果もありますが、

この点については、次回のコラム「ソクラテス式質問法」で詳しく説明します。

ソクラテス式質問法で「気づき」に導く /
↓ ↓ ↓

(3)ASDのある児童生徒が苦手とする質問

ASD(自閉スペクトラム症)のある児童生徒は、

抽象的な表現や、はっきりしない質問を苦手とする傾向があります。

例えば、

「最近、学校はどう?」

「新しい学級は、どうだった?」

このような質問を、何について答えればよいのかが分かりにくく、困ってしまう場合があります。

そもそも、抽象的な質問は、誰にとっても答えるのが難しいものです。

例えば、

あなたが学級担任だとして、次のように質問された場面を想像してみてください。

  • 校長からの「最近、学級はどんな感じですか?」
  • 学年主任からの「最近、学級はどんな感じですか?」
  • 養護教諭からの「最近、学級はどんな感じですか?」

相手によって、返答の内容が変わるのではないでしょうか

それは、相手との関係や状況といった情報から、

「何を求められているのか」を読み取って答えているからです。

ASDのある児童生徒は、複数の情報を同時に処理することが苦手な場合があります

そのため、こうした文脈の読み取りが難しく、質問の意図が分からず困ってしまうことがあります。

ASDのある児童生徒には
5W1Hを使って具体的に質問する

(4)クローズド・オープンの順番

質問には、相手が話しやすくなる順番があります。

基本は、クローズドオープンの流れです。

例1:クローズドオープンオープン

先生

音楽は聴きますか?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

はい、聴きます

先生

どんな音楽を聴きますか?
(オープン・クエスチョン)

児童生徒

結構、昔の音楽を聴いたりします

先生

昔の音楽って、たとえば?
(オープン・クエスチョン)

例2:クローズドクローズドオープン

先生

冬休みは、楽しみ?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

はい

先生

2週間ぐらいだよね。
短く感じる?長く感じる?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

短いです

先生

そうなんだ。何をして過ごすの?
(オープン・クエスチョン)

これは、児童生徒向けのアンケートと同じ構造です。

アンケートでは、選択肢の質問自由記述の質問 という順番になっていることが多いと思います。

この順番で、心の準備ができ、答えやすくなるからです

アンケート用紙と同じ順番
「選択肢」「自由記述」

このようなクローズドオープンの順番で質問できる「支援ツール」が、

当Webサイトの「教育相談 指さしシート」です。

指さしシートの活用例

先生

この中に、〇〇さんの気持ちやここ最近の状況に近いものはありますか?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

これです
(指さしする)

先生

「登校がつらい」のね
いつ頃から、つらいの?
(クローズド・クエスチョン)

児童生徒

1か月前ぐらいから

先生

そうだったのね
何かあったの?
(オープン・クエスチョン)

よろしければ、個別面談でご活用ください。

指さしシートで面談をアップデート /
↓ ↓ ↓

まとめ

  • 不安や緊張がある場面では、まず負担の少ないクローズド・クエスチョンから始めます
  • 十分に話を聴きたいときには、自由度の高いオープン・クエスチョンが有効です
  • ただし、ASDのある児童生徒には、抽象度の高い質問が答えにくい場合があるため、5W1Hを使って具体的に質問することが大切です
  • 質問の順番は、クローズドオープンの流れにすると、心の準備ができ、自然に話が広がっていきます

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